ある時、それは突然始まります。
あれ、なんかある・・・
その瞬間から、動物を触るたびに、イジイジ。
いてもたってもいられない。
気になる・・・
だけど、病院に行くのは面倒だし・・・。
以前、別の場所に似たようなのができた時、脂肪のかたまりと言われたし・・・
なかなか治んないけど、いつもの皮膚病かなぁ?
一見、皮膚病、脂肪のかたまりに見えて、それがとても悪性度の強い腫瘍のことがあります。
おうちで見てて、よく飼い主さんが悩みそうなデキモノについて、これから書いていきます。
あっこれはちょっと・・・
そんな時は、病院で診てもらいましょう!!
脂肪のかたまりに見えるけど、ホントにそうなのか?
ここが、めちゃくちゃ重要です。
例えば、右の写真。
一見、脂肪のかたまりに見えますが、FNA(これは後で出ますが、細い針を刺して、細胞を採ってくる検査です)で、肥満細胞腫と呼ばれる、悪性腫瘍であることが、わかりました。
他にも、脂肪のかたまりに見える腫瘍は、たくさんあります。
ある意味、検査をしてみないと、判断不可能です。
じゃぁ、検査をして脂肪のかたまりだったら安心なのか?
これが、そうとも言えないんです。
脂肪のかたまりのほんの一部に、悪性腫瘍が隠れてるかもしれないんです。
FNAは細い針を刺して、細胞を採りますが、例えば、脂肪のかたまりの中に、ほんのちょっとだけ、悪性腫瘍が隠れていたら・・・
外から針を刺して、悪性腫瘍にヒットする確率は、グンと下がります。
肉まんに針を刺して、タケノコだけ採ってくるのと同じなんですよ。
なので、脂肪のかたまりと、診断されても、経過を見ながら、急激に大きくなったりとか、はじけちゃうようならもう一度、検査が必要になってくるので注意が必要です。
皮膚病なのか、そうでないのか?
難しいところです。
右の写真は、皮膚病が2ヶ月以上繰り返されたケースです。
飲み薬で、よくなったり、悪くなったりの繰り返しだったそうです。
当院に来院された時は、かなりただれて、痛みが重度でした。
この様な病変は、すごく特徴的なのである程度、悪性腫瘍を疑うことはできます。
しかし、検査をしてみないとこれがホントにその腫瘍なのかは断言できません。
このワンちゃんは検査により、皮膚型のリンパ腫という、悪性腫瘍であることが確認され、すぐに化学療法(抗がん治療)に入り、皮膚病変は、きれいになりました。
この様に、皮膚病変に見える悪性腫瘍でも一部の薬が効いてしまうことがあります。
もちろん、薬が全く効かないのもありますが・・・
皮膚病と診断されても、薬が効かない。
悪化する。
再発を繰り返す。
こんな時は、組織をとって病理組織診断することになります。
けど全てが腫瘍じゃないですよ。
中には病理組織診断で、診断がつく皮膚病もありますから。
まだ小さいから・・・
ちょっと様子見てから・・・
危険な発想です。
悪性腫瘍の悪は、小悪魔アゲハなんてかわいらしいものではなく、まさに、悪魔の悪です。
悪性腫瘍の成長は、とんでもなく恐ろしい。
中には、悪性腫瘍のくせにじわじわ成長する者もいますがとんでもないやつは、1週間ではじけるまで成長して大量の出血などを起こし、動物を苦しめます。
大きくなればなるほど、外科手術で切除する領域も、大きくなりますし、どんどん根治できる確率が、下がっていきます。
しかも・・・
大きくなればなるほど、治療にかかる費用が高くなるのも、事実です。
ことわざで「鉄は熱いうちに打て!」ってありますが、「腫瘍は小さいうちに打て!」です。